2015年6月5日 第3回公判は元教諭の証人尋問が行われました。


 

 今回の公判から裁判官が3人となり、単独制から合議制に変わりました。この事件、裁判所も重要と考え直したという事でしょうか。

 

 証人尋問を受けた元教諭は花菜の担任でした。花菜はこの自然体験学習を楽しみにしていました。この日のために新しいバックを買いました。このカッターボート訓練のリーダーでもあり、当日選手宣誓をしました。

 

 <元教諭の証人尋問>

 

 学校側は、このボート訓練の選定段階から事前準備に至るまでの間、生徒の安全確保の検討は「特に何もしていなかった」と証言しました。

 

 学校側は、出航時の天候判断も「検討しなかった」と証言しました。

 

 転覆したC艇では、乗船時から水が溜まっており、えい航開始前にはその水がくるぶしまで増え、左舷側に大きく傾き、その状況でえい航のスピードは加速していったそうです。船長としてかじ取りをしていた元教諭は、恐怖で悲鳴を上げていた生徒と向かい合って座っており、目の前にいる生徒たちの不安で歪んだ顔を覚えていました。しかし元教諭は「何も指示がないし、何も教えられていないから、なにもできなかったと」証言しました。胸にさげているトランシーバーは全く役立ちませんでした。

 

 事故後、学校としてこの事故の原因分析について「特に何も話し合っていません。遺族にも、原因について報告はしていません」と証言しました。まるで、「生徒が死んでもなにも反省しない」と言っているように感じました。

 

 今回の元教諭の証人尋問を傍聴して、「花菜は学校に殺された」と感じてしまいました。

 生徒が授業中危険にさらされていても、この学校は子どもたちを助けることはしませんでした。

 この裁判、学校の責任について言及してほしいと思います。

 

 次回は、6月17日(水)10時から静岡地裁で前所長の証人尋問が行われます。

 

(西野)


<関連報道>


 

<静岡新聞より引用>

 

「えい航時、指示なし」浜名湖・ボート事故、同乗の元担任証言

 

 
 

 浜名湖で2010年に県立三ケ日青年の家のボートが転覆し、愛知県豊橋市の市立中学の女子生徒=当時(12)=が死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた同施設元所長の被告(57)=東京都=の第3回公判が5日、静岡地裁(佐藤正信裁判長)で開かれた。女子生徒の担任で、ボートに同乗していた元男性教諭の証人尋問が行われ、被告が救助艇でボートをえい航した際の様子を「指示は何もなく、えい航速度がすごく速く感じた」と証言した。
 元教諭は転覆したボートで、かじ取り係とトランシーバーでの連絡係を務めていた。えい航の速度を「体感で時速40〜50キロぐらいに感じた。生徒も怖がっていた」と表現。波を受けてボート内に水がたまり、傾いていった様子を振り返った。
 弁護側から自身の対応を問われると「後から思えば(えい航を)『止めて』と言えたかもしれないが、当時は余裕がなく、考えられなかった」と答えた。事故後、事故原因を分析したり再発防止策を考えたりする検討会が学校内で「なかったと思う」とも語った。
 この日の公判から、裁判官3人による合議体になった。検察側は女子生徒の父(56)を証人申請する方針を示した。父親は閉廷後に「娘を突然、亡くした気持ちや事故から何を学ぶべきなのかを自分の言葉で伝えたい」と話した。

 

<引用おわり>

 


<NHK静岡記事より引用>

元教諭 安全面指示なかった

 

5年前、浜名湖で中学生など20人が乗ったボートが転覆し、1人が死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われている県の教育施設の元所長の裁判で、証人として出廷した亡くなった中学生と同じボートに乗っていた元教諭は、事故の前に元所長が勤めていた施設から安全面についての指示がなかったと証言しました。
県の教育施設「三ヶ日青年の家」の元所長、檀野清司被告(57)は平成22年6月、浜名湖で愛知県豊橋市の中学校の生徒と教諭、あわせて20人が乗った手こぎのボートをモーターボートでえい航中に、転覆させて1年生の西野花菜さん(当時12)を死亡させたとして業務上過失致死の罪に問われています。
5日の裁判では、亡くなった西野さんとともに檀野元所長がえい航するボートに乗っていた元教諭の証人尋問が行われました。
このなかで、元教諭は検察からボートがえい航される前に被告が所長を勤めていた施設からトランシーバーを使うなどの安全面の指示はなかったのかと質問されると、「指示はなかった」と証言しました。
さらに、弁護側から転覆を防ぐため何かできなかったのかと聞かれると「えい航するスピードが速く、判断できなかった」と話しました。
裁判のあと、西野さんの父親の友章さんは「ボートの中では、先生しか救える人はいなかったのになぜ、何もできないのか。言葉がないです」と涙ながらに話していました。 

 

<引用おわり>

 


<中日新聞より引用>

「学校で訓練はせず」 元担任が公判で証言

 

2010年に浜名湖で野外活動中のボートが転覆し愛知県豊橋市の中学1年西野花菜=当時(12)=が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた宿泊研修施設の元校長、檀野清司被告(57)の裁判で5日、ボートに同乗していた元担任男性教諭が証人として出廷し、「檀野被告から具体的な指示がなく、不安になった」と証言した。

 西野さんや元教諭ら20人が乗ったボートは荒天で動けなくなり、檀野被告が救助艇でえい航中に転覆した。転覆前に船内の水をかき出さず、無線で施設側に連絡を取らなかった理由を弁護士側などが尋ねると、元教諭は「えい航の速度が速く恐怖を感じ、冷静な判断ができなかった」と話した。

 元教諭は「学校で事前に事故を想定した訓練はなかった」とも説明。施設に安全管理を委ねており、事故後も教諭らで原因を分析しなかったと明かした。西野さんの父友章さん(56)は公判後、「安全対策は施設任せで学校側は何も反省していない。花菜は殺されたようなものだ」と話した。

 

<引用おわり>