民事裁判 和解調書 被告豊橋市関係文


 

 

事件の表示 平成24年(ワ)第223

被告豊橋市関係分和解

 

期    日    平成241024日午後3時00分

場    所    名古屋地方裁判所豊橋支部準備手続室

裁判長裁判官    田 近 年 則

裁 判 官     富 岡 貴 美

裁 判 官     武 藤 裕 一

裁判所書記官    大 島 光 蔵

出頭した当事者等 

  原  告    西 野 友 章

原告ら代理人  小 林   修

同       菊 地 令比等

被告代理人   足 立 陽一郎

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当  事  者  の  陳  述  等

当事者間に次のとおり和解成立

第1 当事者の表示

原         告  西 野 友 章

原         告  西 野 光 美

原告ら訴訟代理人弁護士  小林    修

同            菊 地 令比等

被         告  豊  橋  市

同 代 表 者 市 長  佐 原 光 一

同訴訟  代理人弁護士  足 立 陽一郎

同            岡 本 徳 広

同            赤 本   優

 

第2 請求の表示

   請求の趣旨及び原因は訴状記載のとおり

 

第3 和解条項

  1 被告豊橋市は、豊橋市立章南中学校(以下、単に「学校」という。)の正課の野外教育活動(以下「校外学習」という。)として平成22618日浜名湖で実施されたカッターとう漕実習(以下「本件実習」という。)において、同校生徒西野花菜(当時1年。以下「花菜」という。)さんが乗船していたカッターが転覆し、花菜さんの尊い命が失われ(本件実習において花菜さんが亡くなられた事故を、以下「本件事故」という。)御両親である原告らに癒やし難い悲しみと多大な心労を与えたことに対し、衷心より謝罪する。

 2 被告豊橋市は、本件事故の発生に関し、次の点について、被告豊橋市に責任があったことを認め、原告らに謝罪する。

(1)  豊橋市教育委員会は、豊橋市立の小中学校(以下「各学校」という。)において実施する校外学習に関し、本件事故当時、校外学習における安全マニュアルを策定しておらず、そのため、各学校が校外学習の実施に伴って講ずるべき安全対策や危機管理体制の構築及び運用について適切な指導助言を行う体制ができていなかったこと。

(2)  豊橋市教育委員会は、各学校において実施する校外学習に関し、各学校の管理職に対する危機管理に関する研修や各学校で起きたインシデントに関する情報を各学校間で共有する体制を十分構築していなかったこと。

(3)  本件実習に関し、学校は、本件実習を委託していた静岡県立三ケ日青年の家(以下「青年の家」という。)が作成したカッターボート訓練プログラムの具体的内容を個別的に分析し、その安全性をチェックしてこなかったこと。

(4)  本件実習に関し、学校は、指導員が乗船しない自主艇があることについてその危険性の認識を怠り、指導員の乗船を求めなかったこと。

(5)  本件実習に関し、学校は、カッター訓練の安全性の見地からの当日実施の可否の判断について、青年の家から提供される気象情報、青年の家によるカッター訓練の実施の可否基準とそれに基づく可否の判断に全面的に依拠してしまい、学校が独自に安全性に関する検討をし、その可否の判断をチェックすることを怠っていたこと。

3 被告豊橋市は、本件事件発生時の初期対応に関し、次の点について、被告豊橋市に責任があったことを認め、原告らに謝罪する。

(1)  施設・学校の活動本部において、消防・警察の救助本部との連絡・連携体制を十分構築できなかったため、人員の確認が遅れることになり、また、様々な憶測や誤った情報が流れる事態になったこと。

(2)  学校は、乗船者名簿の作成及びその管理運用についてのマニュアルの不備等により、本件事故発生の際、その名簿を有効に活用できなかったこと。

  4 被告豊橋市は、第2項及び第3項の内容について、市長が原告らに謝罪をする公式の場を設け、謝罪内容を明らかにする。

  5 被告豊橋市は、各学校において、校外学習の実施に伴う安全管理体制及び危機管理体制等について、本和解の趣旨を踏まえた検証を十分に行うとともに、今後二度とこのような事故が起こることのないよう、安全指針及び安全対応マニュアルの改定等の体制の整備と、その実効的な運用の確保に最大限努めるとともに、各学校における学校行事、学校教育の場において、生徒の生命及び身体の安全を守るのは、第一次的に各学校の教育職員であることを強く自覚し、各教育職員が生徒の安全に対する意識を高く持ち続けるために、研修等に努め、再発防止に向けて不断の努力をすることを約する。

  6 原告らは、被告豊橋市に対する本件請求を放棄する。

  7 原告らと被告豊橋市は、原告らと被告豊橋市の間には、本件事故に関し、本和解条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。

  8 訴訟費用は各自の負担とする。

 

                 平成241029

                   

名古屋地方裁判所豊橋支部

 

 

                      裁判所書記官  大 島 光 蔵