2023年6月18日 事故から13年が経ちました。
当時、刑事・民事で争った静岡県立三ヶ日青年の家、豊橋市立の各小中学校では、この日、各地で風化防止、再発防止に向けた行事が行われました。
人や組織が変わる中、事故の風化を防ぐとともに安全への取り組みをさらに強く進めてほしいと思います。合わせて、「いのち」について考える日であってほしいと思います。
各地の動きを伝えるたくさんの報道もありました。心強いです。下記に各地の取り組みを紹介する新聞記事をご紹介いたします。
西野友章
<2023年6月16日静岡新聞より引用>
野外活動 安全への思い継承
ボーイスカウトや学生に研修
浜名湖で2010年、県立三ヶ日青年の家のボートが転覆し愛知県豊橋市の中学1年生西野花菜さん=当時12=が亡くなった事故は18日、発生から13年を迎える。浜名湖や県立の青少年教育施設では、子どもたちや学生など次世代に安全への思いを継承していく取り組みが活発化している。
「ライフジャケットは浮くためのもの。泳がず浮いて待てという」。4日、昨年度発足した浜名湖海洋少年団が浜松市西区の浜名湖で活動を行った。団員や地元のボーイスカウトに所属する子ども約30人がカヌーの体験に取り組み、指導役のオイスカ浜松国際高マリンスポーツ部員が、ライフジャケットの正しい使用方法などを助言した。
同少年団は西野さんの父友章さんが安全部長を務め、水辺の安全教育に力を入れる。部員は、熱中症対策でこまめに水分補給する大切さも参加者に伝えた。副リーダー団員のグエン・ファム・トルン・フィさん(16)=同校2年=は「自分の命と地域住民の命を守り、知識や技術を伝えられる存在になりたい」と安全への思いを語る。
県立観音山少年自然の家では同日、小学生向けのキャンプでスタッフを務める学生の研修会が開かれ、常葉大や静岡大などの約40人が友章さんの講演に耳を傾けた。野外活動中に発生した複数の死亡事例を例に、気象情報への未対応や引率者の危機管理不足、恒例行事化による油断などの共通点を学んだ。
同施設は昨年から研修で友章さんに講師を依頼している。井浪秀一所長は「子どもの命を預かる責務を自覚し、若手のリーダーとして危機意識を養ってほしい」と期待する。友章さんは「教育委員会や教員が教訓を忘れないことは重要だが、高い志を持つ若い世代に伝えることも同じくらい意義がある。機会がもっと増えると良い」と話す。
<引用終わり>
<2023年6月19日 中日新聞より引用>
命の大切さ かみしめる
豊橋・章南中 犠牲の西野さん悼む
浜松市北区の浜名湖で野外活動中にボートが転覆し、豊橋市立章南中1年の西野花菜さん=当時12=が亡くなった事故から、18日で13年となった。章南中では追悼行事があり、生徒や教職員、保護者が「事故を忘れない」との思いを胸に、命の重みや学校の安全管理を見つめ直した。
生徒ら259人は、朝から命の大切さに関する道徳の授業を受けた。その後体育館に集まり、出席者全員で黙とうをささげた。
天国の西野さんに見てもらおうと、命についての思いを記したカードを黄色い風船にくくりつけ、生徒や教職員が空に放すセレモニーもあった。黄色は西野さんが好きな色だった。生徒らは、校庭から風船が空に舞い上がるのを見届けながら、事故当時の教職員らが作った歌「未来(あした)へ」を合唱した。
生徒会長の園部赳士(たけし)さん(15)は「生きたくても生きられない人がいる。今、幸せに暮らしていることに感謝して、生きていきたい」と話した。住田政大郎校長は「教職員は安全管理について意識を高め、生徒たちは命や人と人のつながりの大切さについて考えてほしい」と呼びかけた。
事故は2010年、章南中の1年生18人と教職員二人が乗ったボートが悪天候で航行できなくなり、転覆。ボートに閉じ込められた西野さんが亡くなった。市では6月18日を「豊橋・学校いのちの日」と定め、毎年この日を中心に市内全小中学校で命に関する教育をしている。
再発防止 現地で救助訓練
「子どもの安全 守る」
訓練前には、静岡県教委や県内の社会教育施設の関係者らが、青年の家のロビーに設置されている西野さんの慰霊像の前で黙とう。県教委の宮崎文秀教育部理事は、青年の家での野外教育活動の体験者数が新型コロナウイルス禍前の水準に戻りつつあるとして、「子どもたちの安全は大人たちがしっかりと守る」と力を込めた。
訓練は青年の家南側の浜名湖にカッターボートから小学生二人が転落したとの想定で、約20人が参加した。湖上の救助隊と湖岸の青年の家職員たちが無線で連絡を取り合い、転落した二人を救助して陸地に避難させた。
事故は2010年、章南中1年生ら20人が乗ったボートが荒天で航行不能となり、えい航中に転覆。西野さんがボート内に閉じ込められ、亡くなった。県教委は事故が起きた6月18日を「安全確認の日」定め、青年の家で水難救助訓練を毎年行っている。
<引用おわり>
<2023年6月19日静岡新聞より引用>
浜名湖・ボート事故13年
「安全対策の心 次世代に」
浜名湖で2010年、県立三ヶ日青年の家のボートが転覆し、愛知県豊橋市の中学1年生西野花菜さん=当時12=が死亡した事故は18日、発生から13年を迎えた。青年の家は同日、追悼行事や対策訓練を同施設で行い、関係者が西野さんを追悼するとともに、再発防止への思いを新たにした。
県教委や施設関係者らが出席し、西野さんをイメージした「少女の慰霊像」に黙とうをささげた。県教委の宮崎文秀理事は「当時の痛ましい気持ちを思い出す。二度と事故を起こさしてはならないと改めて心に刻みたい」と述べた。
対策訓練は、海洋学習でカッターボートに乗り込んだ小学5年生が陸から100メートルほどの湖上で水面に落下するとの想定で行った。13年前の事故発生時と同じ形のボートを使い、落水した人を引き上げる動きのほか、マリーナ本部との連携態勢、残りの乗船者の寄港方法などを確認した。
同施設の御園崇所長は「徹底した安全対策に向けて、技術だけではなく、心持ちも次世代につなぐ必要がある。事故を風化させてはならない」と強調した。
<引用おわり>
<2023年6月19日東愛知新聞より引用>
生きている大切さを学ぶ
18日は「豊橋・学校いのちの日」。2010年のこの日起きた「浜名湖カッターボート転覆事故」を風化させることなく、再発防止の徹底を図る日、としている。市内各地の小中学校で18日を前後してさまざまな取り組みがあった。
西野花菜さん(当時12歳)が亡くなった事故から13年。豊橋市立章南中学校では、生徒が黄色い風船を大空に飛ばす「バルーン・リリース」などで花菜さんをしのんだ。
始業前の全校集会では、花菜さんの冥福を祈って全員で黙とうをした後、住田政大郎校長が命の大切さなどを語った。
生徒や教員は、各教室でメッセージカードに命の大切さや花菜さんへの思いを記し、バルーン・リリースに臨んだ。住田校長は「花菜さんや自分の大切な人を思い浮かべながら、セレモニーに臨んでほしい」と呼び掛けた。
当時の教員が作成したメッセージの群読、追悼歌「未来(あした)へ」の合唱をした後、カードを風船に付け、一斉に大空に飛ばした。
生徒会長の園部赳士さん(3年)は「生きたくても生きられない人がいる。普通に暮らしていけることに感謝したい」と話した。
元同校教員で追悼歌の作詞をした平野明子さん、同作曲者の杉山泰さんを招き、命をテーマにした講演会もあった。
【北川壱暉】
<引用おわり>
<2023年6月19日読売新聞より引用>
ボート転覆13年 浜名湖で訓練
2010年に浜松市北区の県立三日美青年の家の体験学習でボートが転覆し、愛知県の中学1年西野花菜さん(当時12歳)死亡した事故は18日、発生から13年となった。事故を繰り返さないよう、関係者が黙とうをささげ、浜名湖で救助訓練を行った。
訓練は、カッターボートに乗った小学生が湖に落ちた想定で、青年の家の職員らが救助するまでの手順を確かめた。青年の家の御園崇所長は「事故を風化させない気持ちを強く持ち、スキルを向上させたいと」話した。
<引用おわり>
<2023年6月19日東日新聞より引用>
豊橋・章南中で「学校いのちの日」
思いを込めた黄色い風船大空へ
2010年6月18日、浜名湖(浜松市)での野外活動中にカッターボート事故で亡くなった、豊橋市立章南中学校の故西野花菜さん(当時12)を悼む「学校いのちの日」の行事が豊橋市老津町の同校で開催された。生徒約260人が参加。西野さんの冥福を祈るとともに、いのちについて深く考えた。
学校集会で住田政太郎校長が事故について話し、学校に残る西野さんに関するものについて紹介した。そして「今日を、いのちを考える大切な日にしてほしい」と話した。
その後、生徒らは、命の大切さなどをつづった作品「命の炎」を複数人で高らかに読み上げる群読をしてから、西野さんが好きだった黄色の風船を、大空に放った。
生徒会長の園部赳士(たけし)君は「生きたくても生きられない人も多くいる。当たり前の毎日を生きられることに感謝しよう」と呼びかけた。生徒たちは風船が追悼歌「未来(あした)へ」に乗って飛んでいくさまを、祈りを込めて見守った。園部君は「花菜先輩のことを忘れず、思いを受け継いできたい」と話した。
豊橋市は、命日の6月18日を「豊橋・学校いのちの日」に制定。市内の小中学校で授業や講演会などを通じて、事故の再発防止と教職員の危機管理意識の向上を目指す契機にしている。
<引用おわり>