事故から7年、各地、各学校で様々な追悼式典が行われました。


 

 <事故から7年目>

 

花菜に会えなくなって、7年が経ちました。ずいぶんと時間が流れたようでもあり、止まったままのようでもあります。特にこの6月は、あの日の信じられない出来事がよみがえったり、花菜と過ごしたかけがえのない時間が思い出されたり、それらが怒りや悲しみと混ざって、不安定な感情があふれてしまいます。

社会は、防げたはずの命を失うたびに、「なぜ」を検証し、「繰り返さない」を誓ってきたと思います。しかし、子どもを突然亡くす事故はまだまだ起きています。今年3月の那須で起きた雪崩事故は、浜名湖ボート事故とよく似た状況があり、「花菜の事故が生かされてないのでは」と感じ、残念でなりませんでした。

こうした野外活動中の事故を繰り返さないためには、特に子どもを預かる立場の方は、関心を持ち、事故を知り、その原因や背景を自分の役割として学び、学んだ教訓を行動につなげてほしいと思います。

 

2017年6月18日 花菜の父親 西野 友章  花菜の母親 西野 光美

 

 


 

<静岡新聞より引用>

浜名湖・ボート転覆事故7年 青年の家で追悼式典 浜松 

 2010年、浜名湖で県立三ケ日青年の家のボートが転覆し、愛知県豊橋市立中の女子生徒=当時(12)=が死亡した事故は18日、7年を迎えた。今年3月には栃木県那須町で登山講習中の高校生ら8人が死亡する雪崩事故が発生し、「教育」の場における命を最優先にした学校の判断の在り方が問い直されている。浜松市北区の同青年の家では追悼式が、豊橋市立中では全校集会が開かれ、命の尊さをかみしめるとともに事故を繰り返さないとの決意を新たにした。
 追悼式では県教委の関係者や地元中学生ら約80人が事故の再発防止を誓った。
 女子生徒をイメージした少女の像に献花し、黙とうをささげ冥福を祈った。木苗直秀県教育長は「野外活動は心身を成長させる機会だが、安全第一が大前提。青年の家と連携し安全対策を進めると、女子生徒とご遺族に固く誓う」と決意を述べた。
 女子生徒の父と母はメッセージを寄せ、青年の家の城田守所長が代読した。栃木県で高校生らが死亡した雪崩事故に触れ、「娘の事故が生かされていないのではと感じ残念でならない。教訓を行動につなげてほしい」と訴えた。
 浜松市立三ケ日中の1年生有志も出席し、女子生徒の追悼歌「未来(あした)へ」を合唱した。

後輩らと黙とう 豊橋・章南中

 豊橋市立章南中の全校集会では生徒316人と教職員が西野さんに黙とうをささげた。山本武志校長は事故を生徒に説明した上で「花菜さんの苦しみが成長して帰ってくることを楽しみに待っていたご両親を思うと胸が張り裂ける思い」と話した。

 学年のリーダーで、医師になるのが夢だった西野さんが野外活動のしおりに描いた、みんなで乗っているカッターボートの絵と、活動中の研修会でつづった「夢があるっていい」という言葉を記した黄色い旗を校庭に揚げ、「自分や周囲の人々の命を大切にしながら生きます」などのメッセージを付けたバルーンを全員で空に放った。黄色は西野さんが好きな色だったという。

 豊橋市は事故後、6月18日を「学校いのちの日」と定め、市内74の小中学校と、特別支援学校がそれぞれ、命について考える講演会などを行っている。

                                    

 <引用おわり>

 


 

<中日新聞より引用>

浜名湖ボート転覆事故7年 花菜さんに献花 

 浜松市北区の浜名湖で愛知県豊橋市立章南中学校一年の西野花菜さん=当時(12)=が死亡したボート転覆事故から丸七年の十八日、花菜さんを追悼する「献花・黙とうの式」が北区の静岡県立三ケ日青年の家で開かれた。

 県教委や青年の家の関係者ら約九十人が出席。ロビーにある花菜さんの慰霊像に木苗直秀教育長らが献花し、全員で黙とうした。

 青年の家の城田守所長が「安全・安心のために躊躇(ちゅうちょ)せず研修や訓練に励む」と誓いの言葉を述べ、「全国のモデルとなり『二度と繰り返さない』をつないでほしい」などと書かれた花菜さんの両親のメッセージを読み上げた。

 最後に、地元の三ケ日中の一年生約四十人が、事故当時の章南中教員が花菜さんを思って作った歌「未来(あした)へ」を合唱。式後に救助訓練が行われた。

 事故は二〇一〇年六月十八日、青年の家に校外学習に来ていた章南中の一年生ら二十人が乗ったボートが荒天で動けなくなり、えい航中に転覆。ボートの内側に閉じ込められた花菜さんが溺れて亡くなった。

                             

<引用おわり>

 


 

<朝日新聞引用>

 

浜名湖ボート事故から7年 豊橋の小中生、命を思う

 

 2010年、浜松市の浜名湖で野外活動中のボートが転覆し、豊橋市立章南中1年の西野花菜さん(当時12)が亡くなった事故から7年となる18日、同校で命について考える取り組みがあった。

 事故を機に、市内の小中学校で開いている「豊橋・学校いのちの日」の一環。

章南中では、山本武志校長が「ボート事故を決して風化させず、命の大切さを考える日にしたい」と話した。

 校庭から風船を飛ばす「バルーン・リリース」で、生徒会長の稲子朋花さん(3年)は「後輩としてできることは命の大切さを考え、強い気持ちで前向きに生きることです。花菜先輩に届けるように思いを風船に込めて飛ばしましょう」とあいさつした。

 風船には生徒一人ひとりが書いたメッセージをつけた。カウントダウンに合わせ、約350個の風船を一斉に飛ばした。

                                 

<引用おわり>

 


 

<東愛知新聞 引用>

 

天国の先輩へ祈り届け 豊橋章南中で追悼集会

 

 この日の朝、山本武志校長は生徒の命を最優先に考えた安全対策や、マニュアルを順守するだけでなく自ら判断し行動する力を身に付けることなどを教員らに呼びかけ「事故を風化せず、章南中が学校安全のリーダー校になるよう努力していく」と誓った。

 全校集会も開かれ、全生徒が花菜さんへの黙とうを捧げた。その後、小児がんのため息子を7歳で亡くした朝倉三恵さんの講話で命の大切さについて学んだ。

 生徒の願い乗せ 大空舞う風船

 最後のバルーンリリースでは、今回、初めて花菜さんを追悼する同校オリジナル曲「未来(あした)へ」を全校生徒で合唱。そして、生徒らが書いたメッセージを黄色の風船350個にくくり付け、一斉に空へと放った。

 生徒会長の3年・稲子朋花さん(14)は「花菜先輩が生きたくても生きられなかった日々を先輩の分まで生きて、果たせなかった夢を実現させられるように頑張ります」と話した。

 事故は2010年6月18日、浜名湖で野外活動中だった章南中1年の生徒18人と教諭2人が乗ったカッターボートが悪天候で漕艇不能になり、ボートでえい航中に転覆。生徒らが湖に投げ出され、逆さまになった船体内側に閉じ込められた西野花菜さんが溺れて亡くなった。

                                     

<引用おわり>