■2021年遺族の活動
この「菜の花キャンドル」は、花菜を追悼しながら、事故を忘れないように、子どもの安全や野外活動、学校活動の安全への取り組みを緩めないように、そんな願いを込めて開催されています。今年で12回目を迎えました。
あれからずいぶんと時間が経ったようでもあり、今こうやって同級生たちを見ると、この場所ということもあり、花菜を失ったあの日が蘇ってくるようでもあります。
同級生たちのとっても、あの経験があって、12年という時間の中で、それぞれの環境で生きている姿を想像します。そんなみんなの姿を花菜も私の妻もきっとどこかで見守ってくれているのじゃないかなぁと思っています。
子どもたちを大人が守る姿をこの浜名湖から発信してほしいと思っています。
2021年12月19日
西野友章
今回初めて、「三ケ日地区教育研修会」に、吉川優子さんと共に、講演しました。
保育園、幼稚園、小中学校の教諭約100名と、花菜の事故や類似の事例を紹介しながら、子どもの安全をどう確保していくか、その思いを新たにできたと思います。
大人の都合を優先して子どもたちが命を亡くすことはあってはなりません。
未然に事故を防ぐために、各教員一人一人が、どう接するか、何が必要か、それぞれに考える時間となったと思います。花菜のこと、共有して、子どもの命を守る行動につなげたい。
西野友章
今年で、この講演は4回目となりました。毎回新たな気持ちで、私の思いを伝えることができています。
3年目の小中学校の教職員の方々を中心に、子どもの安全について、共に考える時間になったと思っております。
思いを共有できることは、花菜の命を生かすことにもなるのかなぁと感じています。
豊橋市の小中学校の教職員は、「みんなで子どもを守っていく」、そんな環境作りの一役になればと思っております。
西野友章
<朝日新聞2021.6.27より引用>
「救えた命を忘れないで」
西野さん生徒向け講演
浜松市は、いじめを苦に2012年に中学2年の男子生徒が自殺した6月12日を「命について考える日」に定めており、今回の講演会は取り組みの一環。西野さんは豊橋市などで教職員向けの講演を続けているが、生徒向けに話すのは初めてという。
西野さんは、スライドを使って娘の花菜(かな)さんが誕生してから12歳で事故死するまでを紹介。「花菜を失って命の重さを痛感した。他の子の元気な姿を見るのがつらい時期もあったが、今は立派になった同級生が家を訪ねてくれるのが宝になっている」と話した。
一般財団法人吉川慎之介記念基金 代表理事 吉川優子さんも登壇して、水辺の活動と安全について、大変貴重なお話もあり、学生たちのまっすぐな視線に頼もしさを感じました。
子どもの命を守ることの大切さが伝わったと思います。
この研修が、将来子どもたちを守るために役立つことを願っております。
西野友章
先日、静岡県教育委員会の依頼を受け、eランニングで実施する危機管理研修の教材作りに参加しました。
「安全な自然体験活動」について、約30分間zoomで講話・収録しました。静岡県内の青少年施設を安全かつ有効に利用するため、指導者としての心構えや指導計画立案、具体的な指導方法の習得を目的に、危機管理研修を実施するということです。
また、子どもを預かるすべての大人たちに、大人の努力で、救われる子どもの命があることを知ってほしいと思っております。
翌日、静岡県庁を訪問し、木苗教育長に学校安全の取り組みについて、意見交換しました。この静岡県教育委員会の取り組みが、安心・安全な、野外教育につながることを願っております。
西野友章
■2020年遺族の活動
今年から、三ケ日青年の家がこの行事を引き継いでくれます。
昨年までは近所の公園で、同級生を中心に開催していました。同級生も社会人の年齢になり、この行事を10年を区切りに見直そうと思っていました。そんな折、三ケ日青年の家から「菜の花キャンド」引き継ぎの提案を受け、今年から、事故現場の静岡県立三ケ日青年の家が主催してくれることとなりました。
同級生においては、日時の迫った連絡にもかかわらず、集まってくれました。
事故から10年半、私たちは決して忘れない。
同級生や学校や県教委、報道や地域の方、みんな同じ思いで集まりました。
新しい命もありました。未来へのメッセージもありました。温かい歌もありました。とてもいい時間でした。
西野友章
今回で3回目となる今年の教員研修会は、各小中学校の3年目および希望する教職員の合わせて約150名が参加しました。
今年は、大人数の参加とウィルス感染症予防が重なり、コンサートホールでの開催となりました。大きな会場ということもあり、昨年までのグループ討議は行わず、学校管理下での事故事例をより深く考える時間を増やしました。
事例がいかされないまま、繰り返される学校事故の現状に触れ、かけがえのない事例を知って、いかして、未然に防ぐことを、現場の先生方といっしょに考えました。
学校安全について、日々子どもたちと接している先生方との意見交換は、勉強にもなり、励みにもなりました。
この研修会を続けることは、花菜の事故の風化防止や教訓をいかすことに、大きな役割を果たしていると思います。
この教員研修会が、事故を知り、問題点を話し合い、生徒の命を守る行動につながればと思います。
今回は、動画収録されているとのことで、上部にダイジェスト版を投稿します。
西野友章
10年経った今年の6月18日、花菜の母校の豊橋市立章南中学校で、講演を行いました。「事例から学ぶ学校事故の予防について」というテーマで、教員の方々と学校事故を起こさない行動についていっしょに考える時間となりました。併せて、花菜の親友だった平松明華さんが全校生徒に向けて講演した。また、事故現場の三ケ日青年の家では、安全訓練や追悼行事が行われました。多くの報道もいただきました。下記に紹介いたします。
<豊橋市立章南中学校 講演録より>
花菜に会えなくなって今日で10年が経ちます。今日という日は私にとっては正直特別に辛い日で、妻も同じ思いだと思いますが、あの日章南中に呼ばれて、浜名湖に向かって、病院で花菜の死を告げられて、と鮮明に覚えていて、あれから10年経って、この6月18日に花菜がいた学校で、先生方に事故の話ができるまでに、自分がよく立ち直ったなぁという正直な思いで、今日はお話させていただきました。
一方、今こうやって、ここでお話できるようになったのは、今まで、事故から様々な人と出会い、みんなが支えてくれたおかげで、本当に感謝でいっぱいです。
今日はここにいらっしゃる方は、初めてお会いする方が多いのですけども、
その支えてくれた気持ちに答える意味でも、子どもたちの命を守るために、大人たちが何をしなければならないのか、教員として何を学ばないといけないのか、子どもの安全をきっちり考える社会になってほしいという願いを込めて、私が経験した言葉でこれからも伝えていこうと思います。
2020年6月18日 西野友章