2015年3月26日 静岡地方裁判所で初公判が行われました。
被告の元所長は、起訴内容を認めましたが、事故の原因、花菜を救えなかった原因は他にもあることを主張します。そのことで審理が深められ、誰にどんな過失があったのかを明らかにすることができると思います。そのことこそが、二度と繰り返さない対策につながり、花菜のいのちをいかすことになると信じています。今後の審理の行方をしっかりと見てまいります。
(西野)
<関連報道>
浜名湖で2010年に静岡県立三ケ日青年の家のボートが転覆し、豊橋市立中学校の女子生徒=当時(12)=が死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた元施設所長の会社員の男(57)=東京都杉並区=の初公判が26日、静岡地裁(佐藤正信裁判官)で開かれた。被告は「私に過失があったことは争わない。申し訳ございませんでした」と述べ、起訴内容を認めた。公判は女子生徒の両親が傍聴した。
被告の弁護人は起訴内容を争わない意向を示した上で、被告以外にも事故の発生原因に関与した人物がいるとして、過失の共謀を主張する考えを述べた。
女子生徒の父親(55)は閉廷後、「学校の問題点も含めて法廷で明らかにしようとする被告側の主張を聞き、ほっとした。二度と事故を起こさないための審理になってほしい」と述べた。
起訴状によると、被告は10年6月18日、天候不良のため女子生徒ら20人が乗ったボートを救助用のモーターボートでえい航する際、乗船する教諭にボート内に滞留した水をくみ出させるなどしてボートの傾斜を抑える注意義務があったのに、教諭に指導せずに漫然とモーターボートを操縦。左側に傾いたボートを転覆させ、女子生徒を水死させたとされる。
静岡県警は被告のほか、当時の県教育委員会課長や中学校長ら5人も業務上過失致死容疑で書類送検したが、静岡地検は被告のみ在宅起訴し、5人を嫌疑不十分で不起訴処分にした。
(引用おわり)
<中日新聞より引用>
浜名湖ボート転覆初公判 西野さん両親傍聴
「花菜の命を無駄にしないで」。浜松市北区の浜名湖で二〇一〇年、野外活動中のボートが転覆し、愛知県豊橋市章南中一年西野花菜(かな)さん=当時(12)=が死亡した事故をめぐる裁判が二十六日、静岡地裁で始まった。西野さんの父友章さん(55)=豊橋市杉山町=は、再発防止のため原因を究明してほしいとの思いを胸に、初公判を見守った。
自宅を出る前、祭壇で花菜さんに誓った。「いよいよ始まるよ。しっかり聴いてくるからね」
初公判では、業務上過失致死罪に問われた宿泊研修施設「静岡県立三ケ日青年の家」元所長檀野(だんの)清司被告(57)=東京都杉並区=が謝罪し、裁判官に頭を下げた。友章さんは口を真一文字に結び、その姿をじっと見つめていた。
傍聴席で並んで座る妻光美(みつみ)さんのかばんには、事故当日の野外活動で生徒代表としてあいさつする花菜さんの遺影が入っていた。笑顔を見せる他の写真と違い、厳しい表情。雨の中でのボート訓練に不安を抱いていたんだと思う。娘の気持ちを知ってほしいと、法廷に持ち込んだ。
事故報告書を読み「花菜を救う場面はたくさんあった」と話す友章さん。悪天候での出航判断や、転覆後の救助対応。「有罪、無罪がすべての目的ではない。誰にどんな過失があったのか。花菜がなぜ命を落としたのか、事実と向き合って考える機会になってほしい」と願っている。
今後の公判では、心情を語る意見陳述も考えている。
二十六日の初公判では、檀野清司被告が「私に過失があったことは争いません」と起訴内容を認めた。冒頭陳述は四月二十四日。
罪状認否で弁護側は、檀野被告がボートにたまる湖水を外へ出すよう、乗船していた教諭に指示するのを怠る注意義務違反があったと認めた。一方で「転覆の原因は指示を怠ったことにとどまらない」と主張。かじ取り役など複数人の過失が重なり転覆が起きたと説明し「被告の具体的な注意義務は今後明らかにする」と述べた。
起訴状などによると、二〇一〇年六月十八日、施設の指定管理者「小学館集英社プロダクション」(東京都)社員だった檀野被告は、天候不良で航行困難になったボートを救助艇に乗ってえい航する際、ボートが傾いて転覆しないよう注意する義務を怠り、西野花菜さんを溺死させたとされる。
檀野被告は今年一月に在宅起訴された。ともに書類送検された章南中元校長、施設職員ら五人は「えい航時にボートが転覆するとまでは予見できなかった」として不起訴になった。
(引用おわり)
浜名湖で2010年に県立三ケ日青年の家のボートが転覆し、愛知県豊橋市の市立中学の女子生徒=当時(12)=が死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた同施設の元所長(57)=東京都杉並区=の裁判が26日、静岡地裁で始まった。女子生徒の父(55)=豊橋市=は閉廷後「二度と事故を繰り返さないために何をすべきか、みんながあらためて考える機会にしたい」と願った。
起訴状によると元所長は10年6月18日午後、天候不良で航行困難になったカッターボートを救助用ボートでえい航する際、カッターボートに乗っていた教諭にボート内の滞留水の増加状況を報告させるなどの注意義務を怠り、カッターボートを転覆させ女子生徒を水死させたとされる。
元所長は起訴内容を認めた。その上で弁護人は「転覆の原因は滞留水にとどまらない。第三者の過失の競合を含めて主張したい」と述べ、閉廷後の取材に、関係者の証人尋問を申請する考えを明らかにした。
妻と傍聴した父親は「審理が深まる」と、元所長の弁護人の方針に肯定的な見方を示す。天候不良の中での出航判断や転覆後の救助活動を振り返るとき、父親には、娘の命を救えた場面が数多くあったように思えるという。
「転覆の原因は滞留水が大きいのかもしれない。でも、女子生徒の死亡原因はそれだけではないはず」。学校行事で起こった事故の意味をいま一度、問い直したいと考えている。次回公判は4月24日。
(引用おわり)