事故から9年が経ちました。
各地で追悼行事や命に関する取り組みが行われました。
豊橋市では、6月18日を「豊橋・学校いのちの日」と定め、市内の全74校の小中学校で、いのちについて考えるさまざまな行事を実施しています。
静岡県立三ケ日青年の家ではこの日を「安全確認の日」と定め、静岡県教育委員会や県内の青少年教育施設の関係者が出席し、再発防止を誓う追悼行事が行われています。
(株)小学館集英社プロダクションでは、「償いの日」として、全社で、追悼および安全取り組みを共有しました。
事故現場である三ケ日青年の家に遺族としてのメッセージを託しました。
安全確認の日によせて
2019年6月 西野友章
事故から9年、命日が近づくごとに、やり場のない複雑な感情が大きくなります。そして、毎年6月18日は、辛い感情を抑えながら、花菜のことを思い、妻と過ごします。やがて、「花菜はもう戻ってこないので、せめて花菜の死を生かしてほしい」という思いだけが言葉になって出てきます。その思いは、事故のことを忘れずに、どうすることが子どもを守ることにつながるかを考え、それを安全確保の判断をするときに役立ててほしい、そんな願いからだと感じています。
事故現場であった三ケ日青年の家では、日本一の安全第一の青少年海洋施設を目指し、周辺の関係者にも働きかけながら、安全の訓練に励んでいると伺っております。また、事故以来この施設の利用を控えていた豊橋市の小中学校が、自然体験学習の場として、選択肢の一つに加える方向であることも伺っております。
今、改めて思います。教訓を生かすとはどういうことか、それは、それぞれの立場の人が自分のこととして、事故の詳細を知り、その結果の背景を知り、誰が子どもを守るのかを明確にして、安全確保の知識や技術を習得した上で、子どもたちの育成に役立つ野外教育活動を進めることだと思います。
この「安全確認の日」に、花菜がいた三ケ日青年の家で、守れたはずの命の尊さを胸に安全を誓うことが、花菜の願いでもあると思います。
静岡県立三ケ日青年の家では「安全確認の日」として、追悼行事が行われました。
<静岡新聞より引用>
浜名湖・ボート転覆事故9年
教訓胸に再発防止誓う
三ケ日青年の家 西野さん冥福祈る
浜名湖で2010年、県立三ケ日青年の家(浜松市北区)のボートが転覆し、愛知県豊橋市立章南中1年の女子児童=当時(12)=が死亡した事故は18日、発生から9年を迎えた。両所では同日、追悼行事が開かれ、関係者や生徒は女子児童の冥福を祈り、再発防止を誓った。
三ケ日青年の家では、県教委や県内の青少年教育施設の関係者など約30人が出席し、をイメージした少女の慰霊像に代表者が献花した。木苗直秀県教育長は「『安全は全てに優先するものである』との信念のもと、三ケ日青年の家とこれまで以上に強い連携を図り、安全体制を強化していくことを花菜さん、ご遺族に固く誓う」とあいさつした。
女子児童の父は「教訓を生かすということは、それぞれが自分のこととして事故の詳細や背景を知り、誰が子どもを守るのかを明確にして子どもたちの育成に役立つ野外教育活動を進めることだと思う」とメッセージを寄せた。誓いの言葉として城田守所長が「これからも一層の『安全・安心』のため、日々の活動に全力を投入する」と述べた。
<引用おわり>
<中日新聞より引用>
花菜さんに「安全」誓う
ボート事故9年、関係者ら追悼式
浜松市北区三ケ日町の浜名湖で愛知県豊橋市立章南中一年の西野花菜さん=当時(12)=が亡くなったカッターボート転覆事故から九年の十八日、花菜さんを追悼する「献花・黙とうの式」が静岡県立三ケ日青年の家(同町)で開かれた。県教委や青年の家関係者ら約三十人が出席。ロビーに設置されている花菜さんの慰霊像に木苗直秀教育長らが献花し、全員が黙とうした。
木苗教育長は「海洋活動を平成二十八(二〇一六)年に再開しているが、安全は全てに優先される。三ケ日青年の家と強い連携を図ることを西野花菜さん、ご遺族にお約束する」とあいさつ。青年の家の城田守所長は「花菜さんの事故、ご両親の思いがわれわれ所員の行動の原点」と誓いの言葉を述べた。「毎年六月十八日の『安全確認の日』に、花菜がいた三ケ日青年の家で、守れたはずの命の尊さを胸に安全を誓うことが、花菜の願いでもある」などと父友章さんが書いたメッセージを読み上げた。
事故は一〇年六月十八日、青年の家に校外学習に来ていた章南中一年生ら二十人が乗ったボートが荒天で航行不能となり、えい航中に転覆。ボート内側に閉じ込められた花菜さんが溺れて亡くなった。
<引用おわり>
豊橋市の全74校の小中学校で「豊橋・学校いのちの日」の行事が各学校で行われました。
<静岡新聞より引用>
命の尊さと向き合う授業 豊橋・章南中
女子児童が通っていた愛知県豊橋市立章南中では、全校集会で約260人が黙とうをささげた後、クラスごとに命の尊さと向き合う道徳の授業を行った。
3年B組では、出産などに関する教材に触れながら「あなたの命は大切にされていると思うか」という問いを元に約30人が自分の考えと理由を発表。「怒られることもあるが、たくさんの人に守られている」「不自由なく生活できている」など両親や周囲への感謝が挙がり、今後どのような生活を送りたいか、目標を立てて考えた。
校庭では、全校生徒が女子児童へのメッセージカードを付けた黄色い風船を空に放ち、追悼歌「未来(あした)へ」を歌った。
豊橋市の小中学校など75校では「学校いのちの日」と定めた6月18日を中心に、命について考えるさまざまな行事を実施している
<引用おわり>
<中日新聞より引用>
浜名湖転覆事故から9年
命のメッセージ 届け天国へ
章南中、セレモニーや集会
浜松市の浜名湖で野外活動中にボートが転覆し、豊橋市章南中一年の西野花菜さん=(当時12)=が亡くなった事故から十八日で九年を迎えた。章南中では同日、教職員や生徒が一日かけ、「事故を絶対忘れない」との思いを胸に、命の重みや守るすべを見つめ直した。
朝から体育館に集まり全校生徒二百六十人が集まり、黙とうをささげた。宮林秀和校長は九年の歳月に触れ、「花菜さんは医師になりたいという希望を持っていた。そうした大切な命が失われた」と話した。この日について「先生たちにとっては事故の教訓を守り続けていくという思いを新たにする日。皆さんも自分や人の命を守る行動を取れるきっかけにして」と語りかけた。
また、最近校内で起きた事故に関し西野さんの父友章さんから「その前にも『もうちょっとで』という危ない場面がたくさんあったはず」と指摘されたエピソードも紹介。重大事故が起きる前に教職員や生徒が対策を考える必要性について訴え、生徒らは真剣な顔つきで耳を傾けていた。
天国の西野さんに見てもらおうと、命についての思いを記したカードを黄色い風船にくくりつけ、全校生徒や教職員で空に放すセレモニーも。生徒会による企画で、カードには「毎日を大切にして一日一日を悔いのないよう生きていきたい」「命はひとつしかない」とそれぞれの思いを書きつづった。
生徒らは、校庭から風船が舞い上がり西野さんが好きだった黄色が空を彩るのを見届けながら、西野さんにささげて事故当時の教職員が作った歌「未来へ」を合唱した。そのほか、命の大切さに関する道徳の授業などもあった。
事故は二〇一〇年、章南中の一年生十八人と教職員二人が乗ったボートが悪天候で航行できなくなり、えい航中に転覆。ボートに閉じ込められた西野さんが亡くなった。市は翌年から六月十八日を「豊橋・学校いのちの日」と定め、この日を中心に市内の全小中学校が命に関する取り組みをしている。
<引用おわり>
<東愛知新聞より引用>
豊橋章南中で「いのちの日」講演
静岡県浜松市北区の浜名湖で9年前、カッターボート訓練中に転覆事故で亡くなった豊橋市立章南中学校1年の西野花菜さん(当時12歳)の冥福を祈り、同中学校(宮林秀和校長)は18日、「豊橋・いのちの日」の取り組みの一環として、当時救助に関わった静岡県立三ヶ日青年の家の城田守所長を講師に「大切ないのちのお話」と題した講演会を開いた。
現場となった同区三ヶ日町の同青年の家には、花菜さんの一周忌に建てられた慰霊像があり、命日の6月18日は毎年、関係者が献花、黙とうを行い、花菜さんを追悼している。
続いて、城田氏はまず、「未来へ」という曲を浜松市立三ヶ日中学校の1年生が歌ったDVDを披露し、「学校は違えど、花菜さんと同じ中1になった生徒が歌ってくれた」と話した。広い宇宙の中で生かされている奇跡や命への感謝などが歌われ、生徒たちは西野さんへの思いを込めて歌ったという。
城田氏は天竜川漁業組合での経験から、アマゴとサツキマスのエピソードを披露した。
アマゴはサケ科の魚で、海に出ないで一生を終えるが、同じアマゴでも海に出て「サツキマス」になるものがいて、サツキマスは、アマゴの倍以上の大きさで銀色に輝き、上流に戻り産卵を終えるとアマゴの色に戻るという。元は同じ魚のアマゴとサツキマスの一生を紹介し「人生いろいろ」だと語った。
自然界では1%も生き残れない魚を、ほぼ100%育てる方法にも触れ、ペットボトルに水と卵を3~4個入れ、冷蔵庫に11~2月頃まで入れておくとメダカ位の大きさに育つという。名前まで付けて育てた稚魚を川に放流する時には、命の大切さを感じ、涙が出たという。講演の最後に「事故はとても残念でたまらないが、これからも命の大切さを考えていくことを章南中のすばらしい伝統にしてほしい」と生徒らに呼び掛けた。
午前中は、全校集会での黙とうや学級ごとの道徳の授業の後、花菜さんへのメッセージを取り付けた黄色い風船をグラウンドから大空に飛ばす「バルーンリリース」が、約260人の生徒らによって行われた。宮林校長は「職員が西野さんの命を守れなかったことを重く受け止め、2度と繰り返さず、西野さんの出来事を忘れない決意」と誓った。
<引用おわり>
<中京テレビより引用>
9年前に野外活動中の事故で女子生徒が命を落としたことを教訓にしていこうと、愛知県豊橋市の小中学校で命の大切さを学ぶ授業が行われました。
9年前の6月18日、豊橋市立章南中学校の西野花菜さん(当時12歳)が、学校の野外活動中に静岡県の浜名湖でボートが転覆した事故で亡くなりました。
これを教訓にしようと、豊橋市では市内の公立小中学校では毎年、命の大切さについて考える取り組みを行っていて、18日西野さんが通っていた中学校では、西野さんが生前に描いた絵が印刷された黄色い旗が紹介された後、生徒たちが各クラスで「出産」などをテーマに命の大切さについて学びあいました。
<引用おわり>
<NHKより引用>
浜松市の浜名湖でボートが転覆し、女子中学生1人が死亡した事故から9年となる18日、生徒が通っていた愛知県豊橋市の中学校で、いのちの大切さを考える特別授業が行われました。
平成22年の18日、浜松市の浜名湖で豊橋市の中学校の生徒など20人が乗った手こぎボートが転覆し、1年生の西野花菜さん(12)が亡くなりました。
西野さんが通っていた豊橋市立章南中学校では、毎年、事故が起きた日に、いのちの大切さを考える特別授業を行っています。
18日は、まず、全校集会が開かれ、西野さんをしのんで全員で黙とうをささげました。
このあと、道徳の授業が行われ、生徒たちは、どの赤ちゃんも、命がけで生まれてきたことを学び、今、自分のいのちは、大切にされているか見つめ直しました。
最後に、生徒たちは校庭に出て「日常を大切にして毎日しっかり生きたい」とか「いまの自分が元気で生きていることに感謝し周りの人にも感謝して生きていきたい」などと書き込んだカードを西野さんが好きだった黄色の風船にくくりつけて空に放ちました。
<引用おわり>
事故当時の三ケ日青年の家の指定管理者であった株式会社小学館集英社プロダクションでは、「償いの日」として全社で安全に関する取り組みが行われました。